起立性調節障害(朝起きれない症候群)
- 立ちくらみやめまいを起こしやすい
- 立っていると気持ちが悪くなる
- 入浴時や、嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
- 少し動くと動悸や息切れがする
- 朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- おへその周囲の痛みが時々ある
- 倦怠感がある・疲れやすい
- 頭痛
- 乗り物に酔いやすい
3つ以上当てはまると起立性調節障害の可能性があります。
(朝日新聞参照 H29・5・25)
朝、起きたいのに起きれず、学校や会社に行けない方がいます。
「さぼっている」わけでもなく「根性がない」わけでもなく、「気合が入ってない」わけでもありません。
朝起きれない症候群について
当院の考える起立性調節障害(朝起きれない症候群)は、自律神経の成長が身体の発達に追いつかない状態。つまり自律神経の成長時痛のようなものと考えます。西洋医学(朝の血圧が上がらない)とは考えが少し違います。血圧が上昇しないのも自律神経が関係しているからです。
もともと小児のころから自律神経の働きが弱い(昔は全て疳の虫と言いました。)子どもさんが成長期に入り、身体の成長に自律神経の成長が追い付かないために症状が出ます。
お話を聞いていますと、幼いころから、子どもなのに肩や首がよく凝る、頭痛を訴える、食が細く食べさせるのに苦労した、軟便や下痢が多かった、夜泣きがあった、寝つきが悪い、乗り物酔いがきつかった、・・・など、少し弱かった子どもさんが多いです。
この子はこういう体質なのだと育ったことで、自律神経の発達や働きが弱いまま成長し最も身体が成長する思春期に朝起きれないという症状で出てきます。
また、大人でも、急に起きれなくなることがあります。受験や、環境の変化による疲れなどのストレスによる自律神経のバランスの崩れが長期にわたると、自律神経の働きが弱くなり症状が出ます。
健康な方から見れば、
「さぼってる」ように見えたり、「気合を入れたら治る」と言いたくなるような症状ですが精神論では絶対治りません。
治療と経過
治療開始当初は週に1~2回の治療を1~2か月続けて頂きます。
症状が軽い場合それだけで朝が起きやすく、だるさも取れてきます。
しかしこの病気になる方は元々自律神経の弱さがあります。それを改善強化する必要があるのでその後は週1回の治療を続けていきます。
その中で治りやすい症状、例えば片頭痛、軟便、身体のだるさなどは直ぐに取れていきます。これは自律神経の改善を意味します。その状態を続けていきますと朝もスムーズに起きれるようになってきます。
数か月で治る方もおられるし2~3年を要す方もいますが、あきらめなければ必ず治っておられます。治療せずに大人になっても治っていなくて来院される方もいます。
令和元年現在も7~8名のお子様が治療で通院されています。これまでの症例数も数十例になります。一日中横になっていないとしんどくて仕方ないというひどいお子様、起床の時間がどんどんずれていくような酷いお子様もいました。
主な症状
症状の訴え方は人によってさまざまです。
朝起きたくても起きれない、いくつもの目覚ましでも目覚めない、目覚めても、様々な症状で体が動かない。体が沈むように重い。
腹痛、胃痛、吐き気・冷や汗・気分の悪化、めまい、頭痛、ふらつきなどなど他にも、それらが単独または複合的にでます。
当院での症例
13歳 女子(神戸市)
中学生になってから、(4月)朝が起きにくくなってきた。特に8月の台風以降さらにひどくなる。歯ぎしりもするようになった。目覚ましで目は覚ますが、体が起こせない。
症状としては軽いほうなので1カ月5回の治療で、自ら起きれるようになる。
34歳 男性(大阪市)
初診から4年前に眠れず、うつ病と診断され薬でコントロールしてきたが良好なのは1年で、その後便秘下痢を繰り返したり、元の症状が出現。日によって頭は目覚めているが体が起きれなかったり、夕方や夜まで寝てしまうこともしばしばある。自律神経の乱れによる様々な症状も出ていた。
治療は胃腸の弱さがベースにあったのでそこを正常にしていきながら週1~2回の治療をする。半年で本人の自覚としてよくなってきたと思えるようになった。
11歳 男子(滋賀県)
小学生になったころから食欲が減り、3年生ごろから車酔いや微熱が出るようになる。5年生の夏あたりから下痢、嘔吐、だるさ、頭痛、がさらにひどくなり、時にやる気も出ない。来院してもすぐに長椅子に横になりたがる。(しんどさのあまり座っていられない)
滋賀県からなので、初めの2か月は頑張って週2回来院してもらい、のち家でのお灸を指導し1週間に1回来院してもらった。5カ月半くらいで、だるさが数日なくなり、良い感じになってきたと自覚した。中1の今は、疲れてきたら来院。
14歳 男子(宝塚市)
起こさなければ次の日の夕方まで眠り続ける。食欲もなく、便秘下痢の繰り返し。時々頭痛立ちくらみもある。
ホームページの体験談(患者さまの声)を読んで、自分のお子様と同じ症状だったので、来院。
治療開始後数回で食欲、便とも改善。起床は昼くらいであるが体調が良くなり、動きやすくなる。4ヶ月後には朝2回起こすと起きれるようになった。あとは立ちくらみと、昼食夕食はがっつり食べれるが、朝の食欲だけはわかず、ゼリータイプのものを食している。今は月2回の治療中。
16歳 男子(三田市)
倦怠感と頭痛や腹痛があり、朝起きれなかった。
小学生のころから冬の雨の日や台風の日などは体がだるくて学校を休んでいた。
今年の2月から特にひどく、体全体がだるく頭痛がある。4月から漢方を服用して良くなりかけたが、秋になり悪化。朝が起床しずらくなった。
週1回の治療を続ける。数回の治療で腹痛は消失。その後頭痛と起床困難は、4ヶ月後にはなくなるも、自律神経の働きが弱いため現在も月2回通院中。1ヶ年後の現在学校へ通学でき、体の症状はほぼ消失。時々少し眠りにくい時がある。
13歳 男子(伊丹市)
小学6年生の終わりごろから朝がつらく、だるかった。立ちくらみもあったし、朝食もあまり食べる方ではなかった。中学生になり、さらにだるく朝がつらかったのでインターネットで当院を知り来院。
1回目の治療で、効果を感じた。3回目の治療後、立ちくらみを意識しなくなった。朝も普通に起きれるようになった。時々腹痛や、立ちくらみが出ることもあるが、徐々に軽減し、新学期に向けて予防として月2回の治療をしている。
12歳 男子(尼崎市)
4月から新入で中学に通学し始め、普通に起きれていた。6月に入りて朝起きにくくなり、そのため遅刻や欠席をしたり、登校してもめまいやふらつきなどの体調不良のため早退したりを繰り返すようになった。学校での「いじめ」や精神的な要因などはなく、本人も学校に行きたくてしょうがないにもかかわらず、行けない状態。
病院では起立性調節障害と言われ、投薬してもらったが、体に合わないため、服用を中止し、H.P.で当院をみつけ来院された。
四診を通して
幼いころから車酔いなどしやすく、小学校2,3年のころから右肩の痛み(こり)があり、病院などに行って調べてもらっても原因が解らず、揉んだりしても取れなかった。
症状は朝目覚めると、頭痛であったり、腹痛、胃痛、体のだるさなどが現れる。
証を立て(診断する)治療していく
治療目的は、疲れ(元気不足)を解消し、幼いころから弱いと思われる自律神経のバランスを整え、強くしていくこと。
数回の治療で右肩のしつこいコリは消失。色々したのに取れなかったのに数回で取れたことに驚かれる。
最初の2週間は週3回。次の1週間は2回。4週目から週1回。7週目で「良し」とする。
しかし2学期に向けてさらに強くしていくため週1回の治療を続けている。
追記:初診から5年。今では高校2年生になり大学受験に向けて勉強中です。
23歳 女性(伊丹市)
主な症状:朝起きれない、体のだるさ、頭痛、生理痛、ひどい腰痛(ブロック注射1回/週)
17歳のころから、過緊張気味であったが、日常生活はしていた。大学生になってもいろいろ症状はあったものの通学はできていた。大学院に入って2年目に入り通学できないくらいに症状が出現。大学病院で入院するも原因が解らず自主退院。HPで当院を知り来院。
幼少期より夜泣き、疳の虫があり、寝つきも悪かった。大学時代では夜中に勉強をする習慣がつき、夜間型になる。
生理痛は初潮時からきつい。腰痛は週1回のブロック注射をしないと動けなかった。徐々に注射も効きにくくなっていった。
鍼灸治療は、週2回を1年続け、2年目から週1回1年半。その間に朝も起きれるようになり、ブロック注射もなくなり、睡眠薬も減る。今では普通に社会人になり通勤。
現在は約2週間に1回の割合で、来院。疲労しないように心掛けている。
12歳 男子(香川県)
2013年1月来院。倦怠感や1日中眠気がある。
2010年8月ごろから発症。常にだるくて、体が重くて、低反発マットに沈んでいくような重だるさがあり1日中眠たい。常に疲労がたまっている感じ。
年初めに電話にて症状を聞く。
すぐ治ると思うので、つれてきてください。と言う事で週1回、遠いですが来院して頂きました。
3~4回の治療で症状は50%よくなり、以降3月に2回、4,5月に1回ずつ、計9回で改善。
考察:この方はそれほどこじれていなかったため、初めからある程度予見でき、遠方ではあるが来院していただいた。
最近「起立性調節障害」の子どもさんが増えています。程度もそれぞれで、数年かけて治していく必要のある人もおられます。
17歳 女子(伊丹市)
とにかく朝起きれない。目ざまし時計も知らないうちに消している。
高校生になってから、肩背中の凝り、腰のだるさ、生理痛がひどく、よく腹痛を起こし、下痢になる。お通じのいい(軟便気味)のは体質かと思っていた。それに加え、夏の暑さによる疲れや受験のストレスでとうとう朝が起きれなくなった。
鍼灸治療7~8回目で軟便傾向が改善。それに伴い朝も起床しやすくなった。その後は週1回を3か月で様々な症状が改善され、治療を始めて半年後からは月1~2回疲労をためないように治療して、元気に大学生活を送っている。